君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「か、 彼氏?」
「………そう」
まさかそんな質問をされると思わなかった優葉は、一瞬驚いたが
「まさか………、いないよ。だから、行こう?」
直ぐにハッキリとそう李人に返答をした。
「そ、そうか………! よかった!」
李人はそれを聞くや否や、安心し胸を撫で下ろす。
「うんっ………」
(好きな人は………李人君だよ)
昔からずっと、恋ているのは李人だけだ。
そう言えれば、どんなに楽かと………明るい笑顔の李人を見て思い、胸は締め付けられた。
「じゃあ、18時頃迎えに来るよ。 今から、 エンタメ雑誌のインタビューをテレビ電話で受けないといけなくて。 だから………また後でね。 楽しみにしてる」
「頑張ってね」
(インタビュー………か)
「………敵わないなぁ」
すっかり笑顔の李人を見送った後、優葉はポツリと呟いた。
埼玉に帰った李人と時間を過ごす度に、優葉の想いも強くなる。
しかし、李人は人気俳優だ。
そして、優葉は李人にとって気心が知れた従姉妹でしかない事も重々承知だ。
だからこそ、この想いの行く先はどこか…………今の優葉には検討がつかなかった。