君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「さ。 ………言って」

そう言う和泉の声が、優葉の耳に優しく、心地よく響く。

それは、ずっと優葉が聞きたかった声。 

いつも何があっても………優葉の心を温かく満たしてくれた声ーーー。

「………ッ、ごめ、んなさい………。 ごめんなさい………」

「先生………?」

「私は、瀬名君がしてくれたことを全部忘れて突き放したっ………、酷いことを言った………。

瀬名君はいつも私を支えてくれたのにっ、傍にいてくれたのに………っ。 瀬名君はずっと………私を大切にしてくれてるのにっ………。 

私だって………瀬名君が、大切なのに。 とても、とても、大切で………失いたくなくて、傍にいたくて会いたくて仕方ないのに。 なのにっ………!?」


ーーー優葉は、その後の言葉を紡げなかった。 

和泉がまた、優葉を強く抱き寄せたからだーーー。

「………先生、 ダメだよ」

「え………?」

「そんな嬉しいことばっか、言わないで。 ーーー期待、するから」
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