君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

優葉は、そう言って微笑んだ。

「っ、アンタ………」

一方の和泉はみるみるうちに顔を赤くそめてゆく。 

「初めて私が瀬名君から一本取った。 ………やった!」

そう言った優葉は本当に愛らしく、 和泉はまた一瞬で釘付けになる。 

ーーー今の優葉は、まるで小悪魔だ。

「ッ、ほんっと………ずるいよ、アンタ」

「?」

「だから………仕返し」

「え? ………んっ………」

ーーー再び、重なったのは和泉の唇。 

「あ………! せなく、 ………んっ………」

「呼んで? ーーー和泉………って」

和泉は優葉に先ほどよりも深くキスをしながら、優葉にそう甘く囁く。

「っ、でもっ、せなく、これじゃっ………んんッ………!!」

"瀬名君"と言いかけた優葉の唇を和泉は再び容赦なく奪う。

「………ねえ? 呼んで? ………優葉」

「っ、………んん………っ」

「和泉………だよ」




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