君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「あはっ、 懐かしいな。 俺達もあんな頃があったな………。 楽しかったよ、優葉と二人、少ない小遣いで露店巡ってさ」
李人もそう思ったのか、通り過ぎた子ども達を見てクスリと笑った。
「うん………、本当に楽しかった」
優葉との思い出に李人も胸を躍らせているのかと思うと、優葉の胸は自然と温かくなる。
そして、それと同時に隣の李人の姿に優葉の胸はドキドキと高鳴りっぱなしだ。
黒のラインが入ったカンカン帽に、黒のポロシャツと白のパンツを身につけている。
そして、紐が白の赤いスニーカーを履いている李人はカジュアルだが、完全なる私服姿だ。
そして極め付けは、 変装用の太い黒縁の伊達眼鏡。
それが、また李人に信じられないほど似合っている。
(今更だけど、李人君は私服で何だかデ、デートみたいだし………!
しかも李人君、伊達眼鏡が似合い過ぎて更にカッコよくなってるし………心臓がもたない!)
「………どうしたの? 優葉。 さっきからソワソワしてる」
そんな優葉の心の葛藤を知る由もない李人は、様子の落ち着かない優葉を不思議に思っていた。