君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「このままだと、また良からぬ噂をたてられる。
だからーーー」

「………同じです」

「同じ?」

「皆んな、女が同じに見えてくるんですよ。 
俺は、一番大切にしたかった女性(ひと)を俳優という自分の夢のために捨てた。
狡猾で、自分勝手な人間なんですよ。
なのに、上辺だけの関わりで、優しいだの、好きだの言ってくる。 
………そう思ったら、もううんざりしてきたんですよ」

そう言った李人はまるで自分を嘲笑っているようだった。

そんな李人を見、斎木の胸は強く痛んだ。 

「………李人。それは違う。 あのことは………俺たちがお前に選ばせたようなものだ。 お前に、どうしても俳優としての人生を歩んでほしかった。 それが事務所の総意でもあった。だからーーー」

「………けど、最後に決めたのは俺です」

「李人………」

「………次の撮影まで、台本を読みますので。 申し訳ないですが斎木さん、コーヒーを買ってきてくれませんか?」
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