君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「たこやきに、 ポテトに、 わたあめに、 焼き鳥か………。 美味しそうだ」
李人と優葉は露店に寄った後、河川敷に着き、花火を待っている人々と共に土手に座り込んだ。
「何から食べようか? 優葉」
「わぁ、これは迷うね? どれも美味しそうで捨てがたいし」
「じゃあ、俺が決めていい?」
そう言って李人が指をさしたのは優葉の手にあった、わたあめだった。
「今、一番に甘いものを食べたくて」
「うん、 いいよ。どうぞ?」
そう言って、優葉は李人にわたあめを手渡そうとした………が。
「………ちょっと待って、優葉」
李人が、やんわりとその優葉の手を掴んだ。
「り、 李人君っ?」
「………俺に食べさせてくれる?」
「え、えぇっ!」
(い、いきなり何を言いだすの! 李人君!)
突然の李人の言動に優葉は胸の鼓動を抑えられず、そして戸惑う。
「良いじゃん。 優葉の手の中にあるし、後で一緒に食べるだろ?」
「で、でも………何だかそれって」
(恋人、みたいだよ………)