君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー


「………もしかして、 照れてる?」

李人は、優葉の様子を見て思わず自身の希望を尋ねてしまった。

「………っ」

(ここで………照れてる、って言ったら李人君はどう思うの?)

李人にとって、それは冗談だと優葉は分かっていた。

しかし、優葉にとっては………本気なのだ。 まるで恋人にするような李人の行動に本気でときめいている。

それを李人に知られてはいけない。

「わ、私っ………! 喉渇いたから、飲み物をそこのコンビニで買ってくるね!はいっ、わたあめっ」

「えっ………、 優葉!?」

優葉は無理矢理、李人にわたあめを渡すと、気持ちをこれ以上悟られまいという一心で、その場から離れた。

「優葉! って、消えるの早いな………」

優葉を追いかけようとしたが、人混みに紛れたのかあっという間に優葉の姿を見失い、李人はため息をつく。

「………ガッつき過ぎたか?」

(それとも………本当に照れていた?)

「そうだったら………、喜ばしいんだけどな」

(もしも本当に照れていたのなら俺は迷わず………好きだというのに)

「優葉………」

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