君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

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「いらっしゃいませ、 こんばんは〜」

コンビニの明るい灯と、 店員の少しだけ怠そうな挨拶。

それを聞けば、ようやく李人から離れられたと思い、優葉は落ち着いた。

そして、早足でドリンクのある冷蔵庫へと向かう。

(李人君には悪いけど………)

「………仕方、ないよね」

優葉は飲み物を選びながら、ポツリと呟いた。

あの状況で優葉は、李人とどう向き合えば良いか分からなかった。

「仕方ない………」

(李人君は私を従姉妹としか見てないから………。私の気持ちに気付けばきっと李人君が困る………)

そのように優葉が李人への気持ちを心中で諌めていると

「………ちょっと、そこどいてくんない? 笹原先生」

「へっ………」

「サイダーが取れない」

「せ、 瀬名君!?」

なんと優葉に声をかけたのは、私服姿の和泉だった。

和泉はネイビーのポロシャツを着用し柳緑(りゅうりょく)のストレッチクロックドパンツを膝より少し下までロールアップさせていた。

そして、少し泥で汚れたニューバランスのロゴ入りのラインが灰色で黒のスニーカーを履いている。



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