君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
ホテルへ荷物を置いた後、優葉と和泉はR町の花火大会へと向かった。
まだ花火が始まるまで、2時間はあるというのに既に沢山の人で溢れかえっていた。
「凄い人だかりなんだけど」
「本当だね………!」
去年と変わらず、出店が立ち並び浴衣姿の家族連れや、カップル、友人が楽しそうにすれ違っていく。
「まさかここまで花火大会が盛況だとは思わなかった。 はぐれないでよ? 優葉」
そう言って、優葉の手を更にギュッと握る和泉に、優葉の顔は自然と綻ぶ。
「うん」
(良かった………、私、今年もここに来て笑えてる)
李人との思い出が溢れる花火大会で、笑えている。
それは優葉にとって、とても意味のある事だった。
ーーー李人のことは………思い出さない。
李人と過ごした日々を思い出す程、彼から受けた傷が痛むからだ。
(李人君は………何とも思っていないんだろうけど。 今日、花火大会があることも、私と過ごした日々も全部忘れているんだろうけど………)
ただ、それを思うと優葉の心は深く抉られるようだった。