君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

怜に気持ちを吐き出した事で、李人の感情は堰を切ったように溢れ出した。

「まだ………撮影中はいい。 役柄に没頭することで、自分が"橘 李人"だということさえ忘れる。

優葉を好きな感情も消え去る。ただ、いざ撮影が終わって、地元の風景を見ると………"橘 李人"に戻ってしまう。
気がつけば、優葉といた場所に来ていて、彼女を探してしまう。

………駄目ですね、俺は。 まだ思った以上に、優葉を思い出してしまう。優葉の手を手放したのは俺からなのに………」

「………李人」

怜は、思った以上に弱々しくそう口にする李人を見て、胸が痛んだ。

俳優という道のため、"優葉"を世間の好奇や中傷から守るため、李人が別れを選んだのは、怜でも容易に想像がついた。

怜が見た李人はいつだって、優葉を一番大切に思っていたのだから。

ただーーー

「………知ってるのか?」

「え?」

「"優葉"ちゃん。 ………彼女は、なぜ李人が別れを選んだのか。その本当の理由を知ってるのか?」











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