君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「うーーーん。 そうだな。そしたらまた人間に生まれ変わって、 どんな風になってようとその時の瀬名君に会いに来るよ。 私、大切な人や守りたい物は中々手放さないから」
そこまで、和泉に言って優葉は同時に李人の事も思い出していた。
(瀬名君も生徒として、とても大切な存在。 だから………彼が何か悩んでいるなら、その力になり守ってあげたい。だけど、李人君は男性としてとても恋しくて………この想いを中々手放せない)
「………つまり、ね。諦め、が悪いの」
(瀬名君の事も………、李人君の事も)
優葉はそうポツリと呟くように言うと柔らかく和泉に微笑んだが、その瞳は不安定に揺れていた。
「…………っ」
(この女……….、 なんて顔をして俺を見るんだ?)
一方の和泉にはそんな優葉の表情がやけに美しく見えーーー、何も言葉を紡ぐ事が出来なかった。
(クソ………。 本当にこの女は、俺の心を掻き乱す………)
「………瀬名君?」
優葉の呼びかけが和泉の耳に届き、そこで和泉はやっと自分の意識を優葉の方に戻す事ができた。