君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………つまりさ、 ストーカー?」
「………え」
「そういう訳か………。先生、この前も俺の家に来てたしね。充分、その素質あるんじゃない?俺が保証してあげる」
そう言って、和泉は優葉に意地悪く微笑んだ。
「………なっ、 そ、そういうんじゃないよ! 大体ね、瀬名君ってばちょっとは心配してくれる人達の身にもなってよ!」
「ったく、今度はキーキーうるさいな。 分かったから、これ以上公共の場で騒ぐなよ。仮にも教師が」
「な、何それ! ていうか、瀬名君が最初に変な事言うかーーー」
「………んだよ」
「えっ?」
不意に、和泉が呟いた言葉が聞こえず優葉はもう一度尋ねた。
「………はぁ。 ちゃんと聞いててくれない? だから………時々会いに行くんだよ。 俺にとっての大切な人に」
そう言うと和泉は、悔しげに唇を噛むと………ゆっくりと優葉から目を逸らし、伏せた。
「瀬、名君………」
その和泉の表情を見ると優葉の胸は酷く締め付けられた。
(凄く………辛そうな、苦しそうな顔。 きっとその人が瀬名君の泣いてた理由なんだ………)