君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー

「………な、」

(何………!?)

「は、離しっ………」

優葉は、咄嗟に何者かから離れようとしたーーーが。

「………!」

不意に柑橘の香りがし、その場から動けなくなった。

(この香りを………、私は知ってる………)

いつも"彼"が使っていたシャンプーの香り。
彼が傍にいると、抱きしめられると、いつもその香りがしたーーー。

(でも………どうして………?)

どうしてーーー

「………優葉っ………」

「………!!!」

何度も愛おしそうに名前を呼ばれた、ーーー愛おしかったその音色を忘れるはずがなかった………。

「李、人君………?」

少し抱き寄せられた力が緩み、優葉が振り向けばーーー李人がいた。

「ずっと、会いたかった………」

そして、愛おしげに優葉を見つめていた。
まるで恋人同士だった日々のようにーーー。


< 695 / 707 >

この作品をシェア

pagetop