君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「………笹原先生から聞いてきたのに、 何でそんな顔すんの? 」
「だ、って………。 瀬名君が、辛そうな顔をするから………。 きっと、凄く凄く大切な人なんだね。 その気持ちがとても伝わるから………だから私」
「それでも………笹原先生の事じゃないだろ? アンタ、お人好し過ぎていつか騙されそう」
「ひ、人がとても心配してるのにひどーーー」
そこまで言いふと和泉を見た時、優葉は目を見開いた。
「………ま、 騙されないように頑張れば」
それは、今まで見た事が無いような柔らかな笑みを和泉が浮かべていたからだ。
「………せ、瀬名君ってそんな顔も出来るんだ! 可愛い!」
いつも無愛想な和泉の衝撃的な表情の変貌に驚いた優葉が興奮で思わず叫ぶと、和泉は苦々しい表情になった。
「ったく、うるさい、うるさい。てか、笹原先生のせいでサイダーがヌルいんだけど。どうしてくれんの?」
「え!? 私のせい!?」
「当たり前でしょ? 俺はただ、サイダーと夜食を買いに来ただけなのにアンタが長話をさせるから目当ての焼き鳥も誰かに取られたじゃん。 ったく、何かもう奢りなよ、俺に」