君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「いや、優葉が上の空なの珍しいからさ。 ………何か心配事?」
「何? どしたの?」
綾子が、優葉にそう尋ねた時にちょうど食べ物を取りに行っていた晴夏も席に戻ってきた。
「え、っと………」
(………どうしよう)
優葉は、李人との出来事を相談すべきか迷った。
しかし……….恋愛経験ゼロの優葉がこのまま1人で悶々と考え続けるよりも、3人寄れば文殊の知恵だ。
それなりに恋愛経験のある晴夏と綾子に思い切って話をしてみれば、何か良いアドバイスがもらえるかもしれない。
そう即座に思った優葉は、李人の名前と素性を伏せた形で花火大会での話をする事に決めた。
「あの、ね? 男性が………、その。 突然腕を引っ張って、顔を近付けるって………どういう意味、かな?」
優葉は、拙くそして歯切れの悪い言葉で話を切り出した。
と、同時にそれを聞いた綾子と晴夏、2人の目が大きく見開かれたかと思えばーーー
『な、な、何ーーーッ!?』
それ以上でないだろうと言う程の甲高い綾子と晴夏の声がレストラン中に響き渡った………。