君は、近くて遠い。ーイエナイ三角関係ー
「まぁ、 近い内にその人と会う事ね? それで、しっかりと自分の気持ちを伝えたら? 頑張ってね?優葉」
綾子は、李人を純粋に想い、彼の事を常に考え行動できる優葉を心から応援したいと思った。
そして、その綾子の心からの励ましは、優葉の心中に温かく染みわたる。
(………良いのかな? 少しは李人君の事………期待しても良いのかな? )
「………ありがとう、綾子」
優葉は、初めて李人に対する自分の想いに素直になりたいと思った。
そして、その勇気を与えてくれた綾子に改めて心から感謝をした。
(李人君に近い内に会えないか連絡入れてみよう。 そして、ずっと抱えていた気持ちを伝えてみたい………)
優葉は心の中で今までとは違う決意を固めていたーーー。
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ーーー私立 F学園高等学校
「………ねぇ、聞いた!? N市の神社で、橘 李人が映画撮影してるって!」
8月も終わりに差しかかり、夏期講習も後半になってきた頃。
和泉の隣の席にいる女子生徒が興奮しながら前の席の女子生徒に話すその名前を聞くや否や、和泉の意識は自然とそこへ向いていた。