ミントブルーの純情
コーラルピンクの嫉妬





これはこまったことになった。


スマホを開くたびにみつの顔を思い出してしまう。もちろん、今は指紋認証っていう素晴らしい機械があるおかげでパスコードを打つことはとても少ないんだけれど。



「おい、あお」

「うひゃっ?!」


突然後ろから声をかけられて素っ頓狂な声が出た。後ろからクスクス笑う声がする。



「なに驚いてんだよ」

「み、みつがイキナリ近づいてくるからでしょー」

「別に近づいてねえけど」



どすっと私の横に腰を下ろしたみつのせいで、リビングのソファがそちら側にグッと傾く。

土曜日、久しぶりに部活がないんだって言っていたことを忘れていた。いつもはこんな土曜のお昼に家にいるのは私くらいだから、昼まで寝ていたみつが起きて来るなんて思っていなかったんだ。



「もう、いるならいるって言ってよね」

「だから今日部活なくなったって昨日言ったじゃん」

「そーだけどー……ていうか寝すぎじゃない? 今11時40分だよ?」

「いやー久々にこんな時間まで寝たわ」

「まあいつも部活だもんねー。何か食べる?」

「うん。……でもあお料理できねーだろ」

「パンくらい焼ける」

「パンかよ」



パンで悪いか。

ソファから立ち上がってキッチンへと足を進める。

私が料理はもちろん、家事全般できないのは自他ともに認める不器用だからだ。それに比べて、みつは意外と何でも出来てしまう。すごく器用なんだと思う。



「あれにして、ピザトースト」

「我儘か」

「料理できねえんだからそれくらいしろ」

「うっさいなあ……」


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