クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
どうか怖がらずに。
あなたはすてきな父親です。
「さ、律己くん、朝の会の準備しよう」
玄関の中に律己くんを送り込み、保育士に預け、私はもう一度外に出た。
有馬さんは、なぜ私が一緒に中に入らなかったのか不思議がっているようで、きょとんと立っている。
「有馬さん、今、お時間少しありますか」
私の様子に、気軽な話ではないのを察したらしく、彼がはっと身体を緊張させ。
「はい」
いくぶん怪訝そうな、硬い表情で頷いた。
「律己の名前を…」
「おりますか、と言ってました。今思えば、身内の言い方ですよね」
玄関前は日陰がない。中に招き入れると律己くんが何事かと心配すると思い、マンションの横手の、建物の陰に移動した。
有馬さんがジーンズのポケットに両手を入れ、眉をひそめて黙り込む。
「こちらからは、なにも伝えていません。律己くんが通園していることも、その日休んでいたことなども」
「ありがとうございます。でもおそらく、その男はもう、律己がこの園に通っていることは、確信しているんでしょうね」
そうだと思う。押し掛けてくるくらいだもの。
「どなただか、心当たりはないですか?」
「ないですね。スーツって時点で、まず人種が違いますし」
「あの、もしかしたら…」
「律己の父親?」
さすが彼は、瞬時にその可能性に達したらしい。
ちらっと私と目を合わせ、またなにか考え込むように視線を落とした。
あなたはすてきな父親です。
「さ、律己くん、朝の会の準備しよう」
玄関の中に律己くんを送り込み、保育士に預け、私はもう一度外に出た。
有馬さんは、なぜ私が一緒に中に入らなかったのか不思議がっているようで、きょとんと立っている。
「有馬さん、今、お時間少しありますか」
私の様子に、気軽な話ではないのを察したらしく、彼がはっと身体を緊張させ。
「はい」
いくぶん怪訝そうな、硬い表情で頷いた。
「律己の名前を…」
「おりますか、と言ってました。今思えば、身内の言い方ですよね」
玄関前は日陰がない。中に招き入れると律己くんが何事かと心配すると思い、マンションの横手の、建物の陰に移動した。
有馬さんがジーンズのポケットに両手を入れ、眉をひそめて黙り込む。
「こちらからは、なにも伝えていません。律己くんが通園していることも、その日休んでいたことなども」
「ありがとうございます。でもおそらく、その男はもう、律己がこの園に通っていることは、確信しているんでしょうね」
そうだと思う。押し掛けてくるくらいだもの。
「どなただか、心当たりはないですか?」
「ないですね。スーツって時点で、まず人種が違いますし」
「あの、もしかしたら…」
「律己の父親?」
さすが彼は、瞬時にその可能性に達したらしい。
ちらっと私と目を合わせ、またなにか考え込むように視線を落とした。