クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
水筒を両手で抱え、小さな頭が隣を見上げる。


「そういうときは、ぼくを呼んだらいいよ。すぐに来てあげる」


言ってから、少し眉根を寄せ、「でも遠かったら、すぐは無理だね?」と自信なさそうにつぶやき、「遠い?」と父親に聞いた。

有馬さんは言葉もなく、小さく首を振り、「どうかな…」とやっとの様子で言う。

律己くんは困ったように顔を曇らせ、何度も首をかしげては、考えをまとめているみたいに口をぎゅっと引き結び。

やがて、これを言っても許されるのかわからないといったふうに、申し訳なさそうに、ためらいがちに。


「すぐ来てあげられないなら、ちょっと行けないかな…」


そう漏らし、有馬さんを見上げた。


「"ほんとのパパ"っていう人、ぼくが行かないと、困る?」


有馬さんが律己くんを抱きしめた。

両腕で、水筒ごと小さな身体を、きつく、きつく。

律己くんはびっくりして、「パパ?」と子供らしい愛らしい声をあげている。

息子の肩に顔を埋めて、有馬さんはなにも答えず。

ふたりの髪を揺らす風は、深まっていく、恵みの秋の匂いがした。




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