クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「お父さんは?」
「元気よ、ようやく体質改善に目覚めたらしくて」
「どうしていきなり来たの」
「あなたがそっけない手紙送ってくるから、心配したのよ」
…要するに、そう言えるだけのそっけない返事を出させるために、手紙をよこしたわけね。この周到さが、半分無自覚なんだから手に負えない。
もうすぐ六十代に手が届く母は、やはり働いていた名残で、身づくろいに隙がなく現代的な容姿をしていて、年齢相応に美しい。
私は仕事柄、普段はメイクもしないし、通勤服もある程度規定があるため地味だ。母はおそらく、それも気に入らない。
「いろいろありがとう。ごはん食べて寝るから、もういいよ」
「もう二十九歳でしょ。もう少しましなところに住んだらいいのに。お給料は上がらないの?」
「余計なお世話よ」
「保育士の待遇が劣悪だって記事を読んだわ、特に日本はまだ、誰にでもできる仕事っていう認識が改善されないのね」
「実際、誰にだってできるんじゃない? 母親ならみんな、自分の子供を育ててるわけだし」
嫌味は通じなかった。母は「まあ」と愕然としたような顔をしてみせる。
「あなたたちがもっと毅然としてなきゃだめよ。私は保育園には助けてもらった恩があるから、保育士の味方よ」
あなたが感謝しているのは、保育園があったおかげで好きなことができたからでしょう? 話も通じないうるさくて小汚ない子供に触れる、憂鬱な時間を最小限にできたからでしょう?
髪も服も爪も綺麗な自分を維持するために、親の代わりにご飯を与えて遊ばせて、本を読んで聞かせてくれる場所をお金で買ったんでしょう?
その間、少しでも私のことを考えた?
私がなにをあなたに望んでいたか、気にしたことがあった?
「元気よ、ようやく体質改善に目覚めたらしくて」
「どうしていきなり来たの」
「あなたがそっけない手紙送ってくるから、心配したのよ」
…要するに、そう言えるだけのそっけない返事を出させるために、手紙をよこしたわけね。この周到さが、半分無自覚なんだから手に負えない。
もうすぐ六十代に手が届く母は、やはり働いていた名残で、身づくろいに隙がなく現代的な容姿をしていて、年齢相応に美しい。
私は仕事柄、普段はメイクもしないし、通勤服もある程度規定があるため地味だ。母はおそらく、それも気に入らない。
「いろいろありがとう。ごはん食べて寝るから、もういいよ」
「もう二十九歳でしょ。もう少しましなところに住んだらいいのに。お給料は上がらないの?」
「余計なお世話よ」
「保育士の待遇が劣悪だって記事を読んだわ、特に日本はまだ、誰にでもできる仕事っていう認識が改善されないのね」
「実際、誰にだってできるんじゃない? 母親ならみんな、自分の子供を育ててるわけだし」
嫌味は通じなかった。母は「まあ」と愕然としたような顔をしてみせる。
「あなたたちがもっと毅然としてなきゃだめよ。私は保育園には助けてもらった恩があるから、保育士の味方よ」
あなたが感謝しているのは、保育園があったおかげで好きなことができたからでしょう? 話も通じないうるさくて小汚ない子供に触れる、憂鬱な時間を最小限にできたからでしょう?
髪も服も爪も綺麗な自分を維持するために、親の代わりにご飯を与えて遊ばせて、本を読んで聞かせてくれる場所をお金で買ったんでしょう?
その間、少しでも私のことを考えた?
私がなにをあなたに望んでいたか、気にしたことがあった?