クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
「聞いたんですけど、この間、熱で休んでる子を一緒に遊ばせたんですって? うちの子もそこから伝染ったんじゃないですか」

「え?」


園長が怪訝そうな顔をした。

私は、あっと青くなった。もしかして、律己くんのことを言っているのか。


「あの、それは…」


思わず間に入ろうとしたとき、肝心の園児の様子が目に入った。ひと目で、体調がおかしいのがわかる。ぐすぐすと鼻をすすり、だるそうに目をとろんとさせている。


「これは…」

「なんですか、あなたも連れて帰れって言うの?」

「これ、りんご病かもしれません。上の学年の子たちの間で流行ってるんです。発疹が出るのはまだ先なので、わかりませんが」

「だったら、なんなの?」

「熱はそんなに上がらないはずですが、少なくとも今日いっぱい続きますし、大人にも伝染ります。この時期が一番感染力が強いんです」


ちなみに律己くんはりんご病ではない。結果論ではあるけれど、彼が感染源じゃないとわかってほっとした。

「やっぱり今日は、家で様子を見てあげていただけませんか」

ただの風邪じゃない可能性を突き付けられ、冷静になったのか、お母さんは難しい顔で黙り。やがて子供を連れて無言で去っていった。




「…申し訳ありません」

「難しいわね、私もその場にいたら、同じことをしたかも」


事務室で、園長に頭を下げた。

園の管理下にない子供を、預かっている子たちと混ぜてしまったのだ。叱責もやむなしと思ったのだけど、園長は、「グレーよね」とため息をついた。


「そこで律己くんを仲間はずれにして遊んだら、その方が教育に悪いと思うし」

「ですが、あのときの律己くんの熱が、感染症から来るものだったりしたらと思うと…」

「そうねえ」
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