クールな彼のワケあり子育て事情~新米パパは甘々な愛妻家でした~
とりあえずリュックを背負わせて玄関へ戻った。活動記録の中から、報告事項を探しながらおばあちゃんに聞いてみる。


「あの、お父さん、来られないくらい具合が悪いんですか?」

「いえね、来られないこともないんだけど、もし伝染したらみなさんに迷惑がかかるから、来たくないと言って」


おばあちゃんは仕方なさそうにおっしゃるけれど。私は温かい気持ちになった。

気を使ってくれたんですか、有馬さん。あのね、それは本当にありがたいことなんです。きっとあなたが思っている以上に。


「律己くん、今日も元気に過ごしていました、絵本をだいぶ自力で読めるようになったようで…あっ」


私のすぐそばで、二歳の男の子が転んだ。迎えにきたお母さんを見て、保育室から走り出てきてしまったらしい。


「あらあら」


律己くんのおばあちゃんが、思わずといった様子で身を屈めた。


「あっ、ダメですよ!」


間に合わなかった。

「あ…」と言葉を発したきり、彼女は中腰のまま動きを止めた。

やっぱり…!


「やってしまったようだわ…」

「横に、横になってください。すみません、誰か手の空いてる先生!」


私の声に、ふたりほどが飛び出してくる。

私は彼らにおばあちゃんを託し、有馬さんに連絡しようとしたところで、彼も具合が悪かったのだと思い出した。

ええ…どうしよう。


「あの、私、律己くんを送り届けてきます。今日もお父さんのおうちでいいんでしょうか?」

「ええ。私よりは息子のほうがまだ動けるので。ごめんなさいね、先生…」

「お気になさらず。すぐ戻ります」
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