クールな御曹司の一途な独占欲
「本部長。はぐらかされてしまいましたが、本部長はまだ私の質問に答えていません。最初私を追い出そうとしていたのは何故なんですか?」
「ああ、あれかぁ・・・」
私に懐柔された理由を聞くとまた振り出しに戻ってしまうため、同じ内容を尋ねたが言い方を変えた。
「ごめんね香坂さん。あのときは嫌な思いをさせたね」
「いえ別に何とも思っていませんが」
「昔から僕は父のことで色々な駆け引きに巻き込まれてきたからね。父の会社で本部長として務めるなんて、最初は僕にゴマを擦る人間か僕を妬んでいる人間しか寄ってこないデショ?僕はそのどちらもお断りだったからね。ましてや前日まで父の秘書だった女性なんて、何を考えているか分かったもんじゃない。そう思ったからだよ」
「・・・そんなことを考えていらっしゃったんですね」
本部長の気持ちは分からないわけではなかった。
社長も常に同じことで悩んでいたし、社長の秘書であった私も当時近づいてくる人間には警戒していた。
御曹司としては良い心がけだと思う。
「それで、私への疑いが晴れたというわけですか」
「そう。キミは信用できる人だよ」
「ふふ、まだ分からないかもしれないですよ」
「分かるさ。香坂さんは本当に秘書に向いてる。どんな秘密もキミになら話せるよ」
本部長は自分でそう言った後で、「そういえば」と話を展開させていった。
「香坂さんはどうして秘書になったの?」