クールな御曹司の一途な独占欲
遠目でも、エントランスからは見覚えのあるシルエットがふたつ近づいてくるのが分かった。
あんな風に颯爽と歩く牧田さんを見るのは久しぶりだ。
いつもソファーにだらしなく寝転んで私に駄々をこねるところばかり見てきたせいで、まるで別人のように感じてしまう。
向こうは社長をエスコートしながらこちらへやって来て、私を見ても眉ひとつ動かさずに会釈してみせた。
「お久しぶりです、土田産業の牧田です。森下本部長さんと2時からお約束をしておりまして」
「はい、聞いています。土田社長、お久しぶりです。本日はお越しいただきましてありがとうございます」
「久しぶりだね香坂さん。社長の自慢の息子さんに会えるって今日は楽しみにしてきたんだよ」
「ご案内します」
エレベーターに三人で乗っている間、土田社長がずっと、うちの社長とゴルフに行って勝って景品をもらったという話をしていた。
私が相づちを打ちながら聞いている間、土田社長の背後に立っている牧田さんの視線を感じた気がした。
振り向いて確かめることはできない。
「着きました」
フロアについて応接室をノックしてからドアを開けると、中にいた本部長が土田社長を出迎えた。
本部長は余所行きの笑顔だった。
「初めまして。本部長の森下涼介と申します。社長のことは父からよく聞いておりましたが、お会いできて光栄です」
「いやぁ、なんだい森下くんの息子さんもずいぶんと色男なんだねぇ!私も会えて嬉しいよ」
「いや、そんな。本日は父が不在で申し訳ありません」
「かまわんかまわん。お父さんとはこの間ゴルフに行ってきたばかりだからね。ちなみに私が勝ったんだけど」
「もっと練習するよう父に言っておきます」