クールな御曹司の一途な独占欲



本部長は土田社長とは面識がないからそばにいてほしいと言っていたにもかかわらず、ずいぶんと流暢に喋っていた。

彼はいつもそうだ。

基本的に社交的で、外面がいい。
もちろんそうでなければ他社で管理職なんて務まらなかっただろうけど。

にこやかに話す本部長を見ながら、どうしてこの人がやたらと私に素敵だと言ってきて、そして私と仮の恋人関係をしているんだろうと不思議に思った。

やっぱりからかわれているだけだ、と。

・・・そして先程から、私が本部長を見ているのと同じように、目の前に座る牧田さんも私をじっと見ていた。


「香坂さん、そういえば君は独身でしょ?どうなの?森下本部長なんて」


ゴルフと仕事の話が続いていたはずなのに、土田社長はいきなり失礼な質問をぶつけてきた。

このオジサマはいつもそうだけど。


「本部長はビジネスパートナーですから。そんな気持ちでお仕事なんでできませんよ。だいたい私よりももっと素敵な女性がお似合いですし」

「もうほら、そんなこと言って。香坂さんは美人だし気の利く有能な秘書なのに、そういうのに縁がないんじゃもったいないよ」


誰も縁がないなんて言ってないのに。


「この間までお世話になっていた森下社長のご子息なんですよ。そんな目では見れません」


私がそう言ったとき、本部長に少しだけ睨まれた気がしたけれど、彼はすぐに表情を戻してニッコリと笑った。


「ハハ、そうですよね土田社長。僕も彼女にはいつもアプローチしているんですけど、なかなかその気になってもらえなくて」


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