クールな御曹司の一途な独占欲
ここで彼の腕に収まってしまったらアウトだということは何となく頭では分かっている。
もう牧田さんを好きな気持ちはない。
でもこのまま拒絶することを続けていても、一向に相手が理解してくれない。
この先いつまでこれを続ければ終わりがくるのか、それが分からないから、今抵抗したところで何も変わらないんじゃないかって思った。
─『押しに弱そうだからね』─
その通りだよ本部長。
ぜんぶ本部長の言うとおり。
この腕を振りほどけない。
私はそういう駄目な女なのだ。
「はい、そこまで」
てっきり体を包むと思っていた牧田さんの腕は、パシンという音を立てて、宙を舞った。
「本部長!?」
本部長が私と牧田さんの間に割って入り、彼の腕を振り払ったようだった。
すぐに牧田さんは手をおさえて本部長を睨んだけれど、先ほどまで取引先として接していた相手だと気づくと、少し焦ったような表情に変わった。
「あ、ああ、森下本部長さん。先ほどはお世話になりました」
「うん。こちらこそ。牧田さん。・・・彼女のこともお世話になったようで」
何度か「どうして本部長がここに!?」とうるさい言葉を挟もうとしたけれど、先ほどから本部長は私が口を挟むことを制している。