クールな御曹司の一途な独占欲
私の顔が青くなっていることを森下社長も感じとったらしく、彼も苦い顔を向けてきた。
土田社長を何と言って怒らせたのか、私にはすぐに予想がついた。
「牧田さんをもう連れて来るな」そう言ったんだろう。
そう言うと宣言していたんだもの。
社長もそれを知っているだろうから、問題はどこまで知っているのかということだけど・・・
「社長、あの、それって・・・私が絡んでますよね」
「・・・うーん、まあ、そうだね」
しかし社長は私に対して怒る仕草はほとんど見せず、困った顔をするばかりだった。
「す、すみません!私のせいで・・・」
「いやいや君のせいじゃないのは分かってるよ。香坂さんに失礼なことをするならもう牧田くんを連れて来ないでくれ、と言ったらしいけど、どうせまた涼介のワガママだ」
「え・・・」
「ワガママ」という言葉に、私はピシャリと心に衝撃を受けた。
目の前の社長は頭痛をおさめるように眉を弄っている。
本部長の言っていることは何一つワガママなどではないはずなのに、社長はさらにため息をついていた。
「キミと牧田くんは仲が良かっただろう?おおかたそれに嫉妬していたんだと思うよ。涼介はやけに香坂さんのことを気に入っていたからね。この会社に来るときもほら、物凄く駄々を捏ねて渋っていたのを君は知っているだろう?昔から無意味なワガママを言う子なんだよ」
そんなことない。
本部長はワガママなんてひとつも言っていない。
私の気持ちを尊重して、私のことを助けてくれただけだ。
この会社に来ることを渋ったのだってワガママでもなんでもない。
だってそんな人生の大きな決断を、本部長だって即決できたわけがないんだから。