記憶の彼方で、また会えたら




なんの変哲も無い

何も特別でもない

普通の

いつも通りの

ある日の、

授業中でのことだった。

5時間目も半分が過ぎた頃。

数学の美しさを熱弁していた市川先生の授業を遮って

非日常的なチャイムは突然鳴った。

「ピンポンパンポーン
授業中に失礼いたします。
緊急の連絡です。
3年2組 紀ノ上 洸さん、同じく3年の1
組 佐倉 天乃さん。
大至急、職員室までいらして下さい」

洸は寝ぼけた頭で放送を再生していた。
…え?俺?

市川先生はハゲかかった頭を撫でながらニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべていた。

「おらぁ、紀ノ上。今度は何をしたんだぁ?授業中に呼び出されるなんてお前、すごいじゃねぇか」

「ありがとうございます。
って俺、そんないつもワルさしてますっけ?」

「ツッコむとこはそこかよ」

クラス中に笑いが巻き起こった。

「まぁいい。さっさと行け。
緊急だとよ」

しっしと追い払うように手を振ると、
市川先生はまた授業を再開した。

洸がゆっくり教室から出てきた時、目の前をものすごいスピードで天乃が駆けて行った。

「お、おい。天乃」

呼び止められて振り返った天乃の顔は真っ青だった。

「なんでそんな慌てて…」

「嫌な予感がするの。急ごう」

洸は天乃の様子に戸惑いながらも
2人で職員室までの道を急いだ。

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