純粋乙女の恋物語
ブラウスの他にスカートや靴、帽子を選んでくれたのだが、全てお兄さまが買ってくれた。


母から頂いたお金があるから自分で買えるのに、「僕が買ってやりたいんだ」と言って聞かなかった。


どんな気持ちで私に買ってくれたのだろう。
幼なじみとしての付き合いは長いけれど、お兄さまの考えていることはたまに分からなくなる。


「ねえ、私喉が乾いたわ」


私は想いをひた隠しにして、無邪気に笑ってお兄さまの腕に自分のものを絡ませた。


「そうだね。上に新しく出来た喫茶店があるからそこでお茶にしよう」

「はい」


私達は最上階にある飲食店のフロアにある喫茶店へ足を運んだ。


私はホットミルクティー、お兄さまはホットコーヒーを頼んだ。


飲み物を飲みながら、私は学校の話をお兄さまに話した。
お兄さまも大学の話を私にしてくれた。


こうしているとなんだがデートをしているみたい。


一度意識をしてしまうと、その考えが頭から離れなくて次第に頬が熱くなっていった。


「早苗ちゃん、赤いよ?」


本当のことを言える訳がありません。


「私に、お付き合いする方が出来たら、こうやってお出掛けすると思うと照れ臭くなったの」


ひとまず濁してみたけれど、何故かお兄さまから笑顔が消え去った。


「早苗ちゃんは気になる人でもいるの?」

「ええっ!?」


動揺を露わにしていまい、それは肯定しているようなものだった。
< 6 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop