ハニー♡トースト
「お気になさらず。舞さん、二人で話しませんか?」
苦しい。胸が、痛い。
彼女の腕が、朔弥の腕に絡められる。
彼女に向くその笑顔が、私に向くことはない。
あなたに触れることも、きっともうない。
…ほんと、性格悪いなあ、社長は。
こんなの見せられて、平気でいられるわけないじゃない。
振られるどころか、同じステージにすら立てないなんて、そんなひどいことがあるだろうか。
ふらり、と勝手に足が動く。
慣れないヒールにズキズキと痛むけれど、そんなことどうでもよかった。
「ひなちゃん…」
「ごめんなさい、悠人さん。一人に、させてください。」
一刻も早くここを出なければ。
人の波に逆らって、私は出口に向かう。
ごめんなさい、朔弥。もう私は無理みたいです。
これ以上、耐えられないよ…