君の瞳にわたしが映っても(完)

そしてまたもや抵抗も虚しく、シャツのボタンを開けられていた。


「玲っ…お前の腹…。」


修二はわたしの腹の怪我に釘付けになっていた。


全くもってわたしが下着姿だということに反応しない修二に、心の中で落胆する自分がいた。

わたしって…そんなに魅力的じゃないかな。


白石さんだったら…っ、別の反応してたの?


だけど、あまりにも修二の顔がゆがんでいるから、自分もすっと視線を這わせれば、腹をの状態を見て吐き気がした。


こんなの…修二に見せてるんだ、自分…っ


紫色に浮き上がっている傷の部分は、誰が見てもきっと気持ち悪く思うだろう。


「誰に、全部、やられた…」


修二の目つきは変わっていた。


怒りが爆発する寸前のこの顔を、わたしは一度だけ見たことがある。


それはわたしは小学一年生の時、友達と喧嘩をして怪我をした時の修二の顔。その友達に怒鳴りまくっていたのを覚えている。


「知らない…人。」


だけどわたしは暴露するつもりはなかった。


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