君の瞳にわたしが映っても(完)
ぼやけた視界のまま振り返ると、
生き生きとサッカーボールを追っている相川がグランドに見えて。
なんて幸せ者なんだろう、わたしは。
涙が乾いてもう声が出ないくらい笑った。
兄ちゃんもそれにつられて頰を緩めた。
「家族っていいなあ。」
そう呟けば、兄ちゃんもおかしそうに笑った。
「今日は親父夕飯張り切ってたよ。」
「張り切りすぎて焦げちゃったりして。」
家に帰ったら温かい夕食があるって、この上ない幸せだ。
『おかえり』って言ってもらえるなんて、わたしは世界一の幸せ者なんだ。