彼の笑顔に出逢いたい
一体全体、どういう風の吹き回しなんだろう…。


さっき『この前みたいになったら困るから』って言われたけど、今日はこの前とは違ってバスなのに。


だから知らない場所で迷子になって、結城さんに迷惑をかけることもないのに。


まさか、乗るバスを間違えそうだとでも思われてるのだろうか?


そうだとしたら、そこまでボケてはいないと言っておいた方がいいのかもしれない。


そんな事を考えていたら、結城さんが部屋から出てきた。


「行くぞ」


そう言われて、彼の後に続いて店を出た。


彼は黙ったまま。そして私も黙ったまま後をついて行くだけ。


「飯食った?」


いきなり聞かれて顔を上げると、結城さんが振り返ってこっちを見ていた。


「いいえ…」

「じゃあ、ラーメンでも食ってく?」


いつもは賄いがあったけど、忙しすぎる今日みたいな日はゆっくりたべれる時間もなくて食べそびれてしまうこともあった。


「はい。」

「すっげぇ、いい返事だな。」


彼がそう言ってまた笑顔を見せてくれた。

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