イジワル上司の甘い毒牙

「大丈夫、何もしないから」

「この前、何もしてないって嘘ついたくせに……」

「あれは……本当、ごめんね?」


忌まわしい記憶(といっても事後のことしか覚えていない)を思い出して、再び涙目になっていると、日高さんは困ったように眉を八の字にして、私に手を伸ばした。

細くて骨張った男の人の指先が、私の首筋をなぞる。


「もう消えちゃったかな」


愛おしいものを見るような目で、女を誘うような甘い声で囁くから、私の顔に血液が集まって、一気に沸騰する。

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