イジワル上司の甘い毒牙
「わ、私のこといじめて楽しいですか……?」
「結構ね」
あっさり肯定した日高さんに、私は唇を噛み締めながら、握り拳をその胸板に軽く叩きつけた。その手を掴まれて、デスクチェアごと後ろを向かされる。
「大丈夫。本当に何もしないから。佐倉さんにそういう目的だって思われたら嫌だし、きちんと約束は守るよ」
掴まれた手をパッと離されて、そのまま大きな手が私の頬を撫でた。
まるで子供にするみたいなそれに、私は少しだけ釈然としない気持ちで頷く。
「佐倉さんが誘ってくれたら、話は別だけど」
冗談か本気かわからないその発言に、私は再び顔を真っ赤にして、唇を震わせた。
「そんなことしませんっ!」
日高さんの笑い声を聞きながら、私は感情のままにパソコンの電源を落としたのだった。