イジワル上司の甘い毒牙
「……シャワー、先に浴びて来たら?」
そうは言うけど、全身ずぶ濡れなのは彼だって同じだ。
「でも、日高さんは……」
「俺なら、後でも平気。身体は頑丈な方だから」
そう言いながら、日高さんは濡れそぼったスーツのジャケットを脱いで、肩を竦めて見せた。
スーツの上からでも、そのスタイルの良さというか、体幹が強そうなことは伺える。
透けたワイシャツが、一層その肉体美を見せつけるようで、私はそれを直視することなく、目を逸らした。
「……お先に失礼しますね」
「どうぞ」
赤くなった顔を見られないようにと、わざと深々と頭を下げて見せる。
けれど、楽しそうな弾んだ声が返ってきたあたり、たぶんこの男の前では、私は隠し事は出来ないだろう。