イジワル上司の甘い毒牙

「……シャワー、先に浴びて来たら?」


そうは言うけど、全身ずぶ濡れなのは彼だって同じだ。


「でも、日高さんは……」

「俺なら、後でも平気。身体は頑丈な方だから」


そう言いながら、日高さんは濡れそぼったスーツのジャケットを脱いで、肩を竦めて見せた。

スーツの上からでも、そのスタイルの良さというか、体幹が強そうなことは伺える。

透けたワイシャツが、一層その肉体美を見せつけるようで、私はそれを直視することなく、目を逸らした。


「……お先に失礼しますね」

「どうぞ」


赤くなった顔を見られないようにと、わざと深々と頭を下げて見せる。

けれど、楽しそうな弾んだ声が返ってきたあたり、たぶんこの男の前では、私は隠し事は出来ないだろう。

< 73 / 107 >

この作品をシェア

pagetop