イジワル上司の甘い毒牙
「何もしないから、おいで」
少し悩んだ素振りを見せた末に、こちらに向かって腕を広げて、日高さんは微笑んだ。
絶対にこの人は自分の容姿の綺麗さをわかっている。他人にどのように見られているのかも。
私は、目にかかるほどに長く伸びた前髪を軽く指先で払って、日高さんの顔をじっと見つめた。
垂れ目がちな優しい瞳に、幅が広めの二重がその穏やかさを一層強調している。
それとは反対につり上がった、意志の強そうな眉と上手くマッチして、なんとも言えない色気を放っていた。
「……そんなに信用ないかなぁ?」
日高さんを見つめたまま黙り込んでしまった私を、警戒しているのだと受け取ったらしい。
少しだけ寂しそうな声でそう呟いて、日高さんはゆっくりと腕を下ろした。