イジワル上司の甘い毒牙
「何が気がかり?教えて、俺に」
一晩を過ごしたあと、動揺で泣いてしまった私を見て酷く狼狽していた日高さんから考察するに、もしかすると彼は私に嫌われたのではないか、と思っているのかもしれない。
口ではからかいながらも、無理に距離を詰めたり、触れてきたとしても私が少し嫌がる素振りを見せると、すぐに引き下がるから。
「……最近、日高さんといると息が苦しいんです」
ぽつり、ぽつりと本音を零しながら、ゆっくりと彼のいるベッドの方へ歩みを進める。
「俺が怖い?」
日高さんの目の前に立つと、私が彼を見下ろす形になる。
弱い照明の光が、その瞳の虹彩を反射して、潤んでいるようにも見えた。