唯少女論
こんな荒《すさ》んだ私を癒してくれるモノ。



大好きなアニメやマンガ。



空想の世界。



けれどそれは虚構《きょこう》。



ツクリモノ。



嘘《うそ》の世界。



家に母親がいると見たくもない。



帰りたくもない。



兄と母親はケンカ、というか兄の正論に母親がわめくだけ。



そこに関わらない姉は私の心配をいつもしてくれる。



「お姉ちゃん。高校卒業したらほんとうに東京行っちゃうの?」



「うん、行くよ。かりんも東京の大学にしなよ。そしたら一緒に暮らそう。凌兄には悪いけど。吉祥寺とかオシャレなところに住みたくない?」



姉の申し出はとてもうれしかった。



何なら今すぐにでもと思った。



今すぐ。



それで、いいんだろうか。



「お姉ちゃん、あのね。私、実は———」
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