唯少女論
四月でクラス替えをしてから彼女とは初めて同じクラスになった。



それまで同じ中学に通っていることすら知らず、こんな子がいることも気付かずにいた。



毎日あの時間に登校して花壇の手入れをしている。



初めて彼女の存在に気が付いた時もそうだ。



その時はほんとうに寝坊して、今日みたいに校庭を走らされていた。



何周かしてから彼女は花壇の手入れを始めるとホースで水をまき始めた。



花達に話しかけながら水をまく彼女。



水しぶきの先に、虹ができていた。



アタシは思わず立ち止まる。



その瞬間、心を奪われるってこういうことなんだと思った。



その日から、アタシは彼女しか見えない。
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