唯少女論
きっとそれは、蜃気楼。



もしくは、夏の幻。



彼女は、まぶしすぎた。



たとえばそれは真夏の逃げ水のように、青春なんて不確かな時代の見せる白昼夢。



夏の熱気にうなされた私の脳裏に浮かぶ影。



間違いかどうかもわからないままアタシは一途《いちず》だった。



あの頃は、ただただ真っ直ぐに彼女のことだけを見ていた。



まぶたに焼きついた白い残像の儚さに、アタシは―――
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