繋がる〜月の石の奇跡〜
えみはベットに横になりながら、井上が言っていたことを一語一語思い出す。

そして、思いもよらなかった光輝の死という現実をどのように信じ、受け止めればよいのか分からずにいた。

『光輝…どうして何も言ってくれなかったの。。。私一人何もしらなかった。光輝辛いときも、側にいてあげられなかった、、、。光輝はどんな思いで私に嘘をついたの?私が光輝を憎んで忘れればよいと思った?ねぇ光輝、、、私分からないよ…光輝が何を思っていたのか…どうしたかったのか…ねぇ光輝……。』

えみは窓の外から見える空を見ながら光輝に問いかける。

そして気が付くと深い眠りについていた。

そして、そのときえみの夢の中には笑顔の光輝が嬉しそうにえみに話しかけている。そして、「会いたいよ。えみ。」と一言残し、光輝は遠くへ歩いて行ってしまう。

「光輝、光輝、待って、、私、何も知らずに、他に好きな人を作って、光輝を忘れようとしていたの。そんな私が、光輝に合わせる顔なんてないよ。」

夢の中で、でも頭の中でしっかりとえみは遠くに離れて行く光輝に投げかける。

そしてその瞬間目が覚める。

えみは辺りを見渡し、自分が夢を見ていたことに気が付いた。
時計を見ると、朝の6時をちょうど回ったところだった。

『光輝、嬉しそうな顔していた。会いたいって言ってくれた・・・。』

窓から差し込む朝の陽ざしが、えみを暖かく照らす。

下唇をきゅっと噛みしめ、えみは何かを決意して外へ飛び出した。

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