繋がる〜月の石の奇跡〜
「ねぇ、あれ!知ってる?」
あずさがえみに尋ねる。

「何を?」
えみはあずさに聞き返す。

すると、あずさは、
「あれ!あの二人!」
あずさは二人をこっそり指を指して、話しを続けた。

「医学部の二人なんだけどね、校内ではちょと有名な二人でさ、女の子の方、名前は大倉ゆりこ、男の方が、井上圭ね。
いつもあーやって二人でいるんだけど、まだ付き合ってるわけではないらしいの。
大倉さんが井上くんにぞっこんで、付き合うのも時間の問題じゃないかって噂されてるの。
ただ、井上くんは、これまでも何人もの女の子に告白されているんだけど、いつもごめんの一点張りで誰かと付き合ったっていう噂はないのよね。
ちょっと謎めいたキャラなの。
それに、大倉さんに対しても特別っていう感じもないから、この先どうなるのかが見どころなの〜。」
目を輝かせながら、あずさが話す。

「へ、へー。。」
えみは、校内のゴシップについていけず、あっけにとられる。

そして、ゆりこと井上が座っている真後ろの席が空いたので、あずとえみはそこに座った。

ゆりこの可愛らしい話し声がキャッキャッと聞こえてくる。

でも、井上の声はあまり聞こえて来なかった。

『どんな人なんだろう。』
何となく、そんなことを考えながら、えみはハンバーグを食べた。

久しぶりに食べるお肉は、この世のものとは思えない程美味しかった。

『もう大丈夫。ご飯も美味しいし、話しを聞いてくれる友達もいる。』
えみは自分の気持ちがぐっと回復していくのを感じた。
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