幸田、内緒だからな!
「明日、病院に行って来なさい」
「会長……」
「ひとりじゃ不安だろうから、母さん、一緒に行ってやれ」
「はい、そうします」

 行って、もし妊娠してたら?
 次は下ろしに行けって言われるんだろうか。
 それとも、藤堂家の跡取りを産んだら、わたしだけ追い出されるんだろうか。


 次の日。
 お母さんに付き添ってもらい、近くの産婦人科に行った。
 以前、子宮がんと乳がんの検診で訪れた事はあったけど、妊娠してるかもと言う事で受診するのはやはり緊張する。

「早瀬さん、早瀬知花さん、1番の診察室にどうぞ」

 名前を呼ばれ、診察室に入る。
 お母さんには外で待っていてもらう事にした。

「早瀬さんですね?」
「はい」
「それではそこのベッドに寝て下さい」

 言われるままに、仰向けに寝る。
 そしてお腹を出すと、そこにゼリーを塗られた。
 生暖かくて変な感じだ。

「それではエコーを始めます」

 わたしも一緒にモニターを見る。

「はい、ここに赤ちゃんがいますね。おめでとうございます。元気に育っていますよ」
「赤ちゃん……」

 やっぱり妊娠していたんだ。
 直紀の赤ちゃんが出来たんだ。
 それは嬉しい事でもあり、これからどういう運命になるのかという不安でもあった。

「あら、どうしたの? 嬉しくないの?」
「いえ、嬉しいです」

 嬉しいに決まっている。
 直紀の赤ちゃんだもん。
 嬉しいに決まってるよ。

 診察が終わり、待合室の母の元へと向かう。
 何て言われるんだろう。

「知花さん、どうだった?」
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