【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
「そしてお二人は、女王様の所に行く途中ですか?」
真壁先生の質問に彼方がうなずく。
「そうですか。では、早くこの森から出なければいけませんね……でも、本当に行かれるのですか近衛さん?」
どこか心配そうな表情で、真壁先生は私に聞いてきた。
「一色クンは行かなければならないとして、あなたが女王の所へ行く必要はないのでは?」
確かにと、私は思う。
私もその女王様の所へ行かなければならないなんて、ナレーションでも言われていない。
でも……
「今はなんだか、私も行かなきゃいけない気がするんです。だから行きます」
「……ではもう一つ。近衛さんは、自分自身と向き合う覚悟はできていますか?」
なんでそんなことを聞くのか、理由は分からないけれど……
「彼方……その、一色くんが付いててくれますから、怖いものなんてないんです!」
大丈夫。私はもう大丈夫。
「そうですか、では安心ですね」
手に持っていた杖をトンと一回、地面に当てた。
「これで森の魔法は解けました。さあ、ここを真っ直ぐ行けば次の町です。どうかお気をつけて」
「行こうか、柚月」
「う、うんっ」
私たちは森を抜け、次の町へと向かった。