【完】無気力な幼馴染みがどうやら本気を出したみたいです。
《さて、町についた柚月ちゃん。だけど先ほどの森に続き、町の様子もどこかおかしかったのです》
「さあ、この町で二番目に美味しいレストランだよー!」
「この町で二番目に安い武器屋だよ! ぜひ見ていってくれ!」
「この町で二番目に甘いケーキ屋だよ! 甘くて絶品さ! 二番目だがね!」
その町はゲームとかでよく見るようなファンタジックな町で、ナレーションの言うとおり、町の様子はおかしい……と言うか……
《その町の〝一番〟は、全てその町の王子のもの。そう法律で決まっておりました》
「法律なの!? っていうかまさか王子って……」
「柚月、さっさとこんな変な町は抜けてしまおう」
足早にこの町を抜けようとする彼方について行く。
だけど……
《この町を抜けるには王子に挨拶をしていかねばなりません。そういうことなので、柚月ちゃんと彼方くんはお城に行くしかなかったのです》
「……はぁあ」
大きなため息を一つ、彼方はついたのだった。