真夏の青空、さかさまにして
その時、「はいはい、終了!」とシュショーが声を上げた。
「二人ともやる気があるのはいいことだけど、練習中だからなー。またあとでにしようか」
あとにしたって、この口喧嘩の勝者が中野サンだということはもうわかりきっている。僕はそう言ってやりたかったけど、二人はしまったというようにして素直に謝ったので、僕は大人しくそれを見ていた。
その後練習は再開され、僕は結局みんなにアドバイスをした。これじゃあ真夏の思い通りだと途中で放棄してやりたくなったが、真夏がとても嬉しそうに笑っていたのでそんなことはできなかった。
そして何度か休憩を挟みつつ、練習開始から三時間後の十七時には合宿一日目の練習が終了した。
桜の木に囲まれた道場は比較的涼しいとはいえ、クーラーもなにもない真夏の空気が漂う室内での練習だ。みんな滝のように汗をかいている。
ということで、一旦袴を着替えてから、全員で近所の銭湯に行くことになった。
僕は当然ついていく気なんて毛頭なかったんどけれど、真夏が「今日は家でお風呂沸かさないから!」と家主の権限を使ったので、僕も渋々ついていくことになったのだ。
銭湯では、男子陣から遅めの自己紹介をされた。
僕より小さいのが一年生の葉山、ちょっとアホっぽい茶髪が二年生の佐川サン、メガネの色白い人が三年生の仁美(ひとみ)サン。シュショーは三年生で大石というらしいけれど、ザ・シュショーって感じだから名前は覚えなくてもいいか、と適当に流した。