ミルクと砂糖は多めで
「・・・おじさん、困ってる?」

ベンチに缶を置いて、最後の一口のおにぎりを口に放り込むとぺたぺたと靴も履かずに近づく。暗がりから突如現れた私に、高校生もおじさんもお化けでも見たかのように後ずさる。

「困ってない?」
「こ、困ってます!すごく!」
「・・・っ、あぁ!?なんだこの女!」

おじさんと高校生の間に割って入ると、たじろいだ高校生は威圧するかのように怒鳴るが、私から言わせれば気迫が足りぬぞ少年。私より少し背の高い男性はこそこそと耳元で囁く。

「だ、大丈夫ですか・・・・・?」
「いいから、今のうちに警察呼んでください。」
「は、はいっ!」

慌てたように警察に電話をかけ始めたのを見て、あからさまに焦り出した高校生は殴りかかろうと突っ込んできた。こんなこともあろうかと、子どもの頃から兄と一緒に空手を習っていて良かった。腕を掴んで足を引っ掛けると、おもしろいくらいに地面に転がった。

「てめっ・・・・・痛ぁ!?」
「ん?カツアゲなんてみっともないことしてる君達の方が痛いよ。」

さらにそいつも組み伏せていると、近くの交番から警官が来てくれたようで、さっさと彼らに身柄を引き渡した。
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