こっち向いて笑って、先輩!


「おい、来原〜!お前今日日直だろ!」


っ?!


突然、大きな声で名前を呼ばれ体がビクッと跳ねる。


恐る恐る振り返ると、ドアの前でこちらを睨んでる男がいた。


高校生になって一番最初の席で隣だった飯田 快(いいだ かい)。
口うるさいこのクラスの学級委員だ。


「あ、ごめん…忘れてた…」


「忘れてた、じゃねぇ。とっとと女子のノート集めろバカ!」


くっ…相変わらず口が悪い。
この人、どうも私にだけ当たりが強いんだよな。


まぁ、バカなのは自覚してるから反論できないんですけど。


私は、食べかけの弁当を片付けて席を立つ。



「ほら〜ああいうのとかさ」


「え?」


グループの子が、なにやらニヤニヤしながら飯田と私を交互に見る。


え、それって…どういう…。


も、もしかして、飯田と付き合えばってこと?!


いや、なんで?!


無理無理無理無理!ありえない!
てか、私絶対嫌われてるし!
っていうか、恋愛対象とかいうレベルじゃないし!


「何言ってんの!ありえないよ!」


「おい来原!とっとと集めろ!」


ひいっ!!


うん、この人は、絶対違うと思うよ。


< 12 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop