こっち向いて笑って、先輩!


「フフッ」


「こんな雑用手伝いながら笑うとか変人すぎ」


パイプ椅子をテントまで運ぶ道のり。
先輩にそんなことを言われる。



「だって、隣にいてもいいって言われてるみたいで嬉しくて!」


「そんなこといってない」



「だから、言われてるみたいでって、ちゃんといいました!ヘヘッ」



冷たい先輩に、負けないぞ!と目一杯の笑顔を見せつける。
言われてなくてもいいんだもん。
大好きな人と、隣に並べてる。
それがどんなに嬉しいことか。



「……よくできてる」


「へ?」


「来原のデザインした学級旗、よくできるよ。だから誰の発案なのかちゃんと発信したいと思った。それだけ」


っ?!


「せせせせせ先輩?!今褒めました?!私のこと褒めましたよね?!」


「うるさい。騒ぐなよ。学級旗を褒めたんだ。お前じゃない」


「だって今、わ、私が考えた学級旗って!」


あまりの驚きで、瞬きを忘れて先輩をじっと見つめる。


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